銀田一中年の事件簿③
「楽園マントヒヒホテル」。
何ともナメた名前である。
昼間にも関わらずピカピカと光るピンク色のネオンに私は嫌気がさした。
楽園があれば人は苦労しねぇさ。
駐車場に車を止め外に出た。
仕事前の一服にと右ポケットから今話題の「携帯乾燥モツ」に手をやる。
「モッ!!止まらない!!期間限定〜塩ダレ味〜」
と書かれたパックからモツを一つ掴み、口に放り込む。
う〜ん、旨い。
焼肉好きの私は中でも「モツ」が大の好物である。
あの噛み切れない感触が病みつきになるらしい。
「ちょっと〜!!なにのんびりしてるんですか!?こっちはもう大忙しですよ!!」
首を後ろに曲げると、
濃い眉毛をUの字に歪めた足利が、
肩を上げながらナンバ歩きでこっちに向かって来るのが見えた。
彼は興奮すると肩が上がってしまうらしい。
ちなみにナンバ歩きは普段からである。
「バカヤロウ。おれはのんびりくらいの方が頭が働くんだ。」
私はそう叫び返すと、噛んでいたモツをペッと地面に吐きすて人だかりへと向かった。
真っ白なハトが地面に落ちたモツを見つけてつっついている。
(続く)
閉店。