帰ってきた!!銀田一中年の事件簿②
トイレの用を素早く済まし、私はヒョイっとピンクのカローラに乗り込んだ。
「与作が〜♪嘘をつく〜♪針千本〜(針千本〜♪)許してよ〜(許してよ〜♪)」
大好きな「北島四郎」の曲を流しながら交通ルールを無視して進む。
最近、少しずつ、ほんとに少しずつ、「ハル」を感じれるようになってきた。
窓から外を眺めると木々に薄緑の芽がまかれてある。
川は太陽の光を反射して青々とし、その上を飛ぶトキも気持ちよさそうだ。
街行く人々の顔もどこか「ハル」らしく、爽やかである。
ふと、鼻毛をチェックしようとバックミラーを覗くと、
自分の顔にホクロが9つも増えている事に気がついた。
「ほっほ〜。私も歳じゃ。」
フロントガラスから注ぎ込まれる「ハル」の紫外線は中年の肌には荷が重すぎたらしい。
こんなトコからでも「ハル」を感じ取れるものである。
只今の時刻、午前10時33分42秒の31秒前。
まもなく現場。
(続く)
閉店。